Live Q&A
商社・スケールする目的と企業選び
「日本のプレゼンス向上」「地域貢献」「効率化」「人々の交流の活性化」——就活生が志望動機に掲げがちなスケール感のある目的と、実際の企業選びが噛み合っているかは別問題だとUtsuさんは指摘する。ここでは商社・メーカー・金融・不動産・通信・医療機器など幅広い業界の比較質問を通じて、掲げた目的とその会社で本当にできることの距離をUtsuさんが厳しくチェックしたやり取りをまとめた。ミネベアミツミと日本電産、京都銀行と信用金庫、日テレとテレビ東京など、具体的な二社択一への回答も収録している。
Q. 「日本の農家を世界と戦える農家にする」という志望動機について、あえて突っ込んでほしい
A. Utsuさんは、「日本の農家を世界と戦える農家にする」という言葉について、食べてきたものは他の人と同じで、別に日本のものだけを食べてきたわけではないだろう、と指摘する。文字面には突っ込みたくなるが、それでもいいのではないか、とも語る。体が大きくラグビーを10年やってきて体作りに励んできました、と言われたら、実際は大体外国製のものを食べているはずだけど、まあいいか、となるのと同じことだと述べ、結局はバランスの問題だとまとめる。
Q. 人生の目的を「限られた資源しかない日本社会で効率化を果たす」とし、その手段としてERPやBIなど企業の効率化を支援する仕事を考えています。他に当てはまりそうな仕事はありますか?
A. Utsuさんは、その人生の目的設定自体がダメだと指摘する。「限られた資源しかない日本社会」というのは当たり前の前提に過ぎず、それは「なぜそう思ったのか」と聞かれた際に語るべき背景説明であって、人生の目的そのものとして掲げるものではないと語る。
Q. 就職して技術に精通してから、その使い道を考えたいです。今は知識が浅く具体的な案がなくても、就活で説得力を持たせられますか。
A. Utsuさんは、最先端の技術に精通していないなら、まずその技術を今のうちに勉強し、たとえ柔らかい表現でもいいから自分なりに語ることこそが就職活動だと指摘する。完璧にできなくてもよく、かじった程度で構わないという。重要なのは「今の日本に何が足りないか」を考えることであり、たとえるなら「のび太がいない」状態だと語る。ドラえもんはのび太が困っていることから発想が生まれた存在であり、就活生自身も「のび太」でいいのだとUtsuさんは述べる。そのうえで、「就職して技術に精通するようになってから考える」という姿勢は良くないと断言する。子どもでも使えるような最先端の技術の種、いわば成功の種を妄想として広げていくことで、「自分はこの会社でこんなことがやりたい」という感覚が自然と引き寄せられてくるはずだとUtsuさんは語る。
Q. ミネベアミツミと日本電産で悩んでいます。経理財務として、世界に日本の技術力を展開していくサポートをしたいのですが、どちらが良いでしょうか。
A. Utsuさんは、日本の技術力を世界に展開するという観点ではミネベアミツミの方が良いと語る。日本電産は買収した会社をベースに事業を進めているため、現場寄りの仕事になってしまうと指摘する。一方、内から外へ発信していくという観点ではミネベアミツミが近く、ハブとして情報を押さえながら、5年後に自分が動く機会が訪れるようなイメージに近いとUtsuさんは答える。
Q. 物流を通じて日本の医療を支えたいと考えており、大手物流企業のロジスティクス部門とシステム開発部門どちらを目指すべきか迷っています。
A. Utsuさんは、日本の医療を物流を通じて支えたいのであればロジスティクス部門を選ぶべきだと指摘する。システム開発部門は手段が別物であり、システムを作ること自体が目的になるため、対象が医療かどうかは関係なくなってしまうと語る。
Q. 技術職として就職先を検討中です。早いうちから力をつけてキャリアアップしたい場合、大手SIer系のA社とB社(電機メーカー系)ではどちらが良いでしょうか。
A. Utsuさんは、キャリアアップを重視するならA社ではなくB社を選ぶべきだと答える。ただし、会社名を並べて比較するだけでは意味がないとも指摘し、単純な企業名の比較で判断すべきではないと語る。
Q. 地域貢献の可能性という観点で、京都銀行と京都中央信用金庫を比較するとどうですか?
A. Utsuさんは、正直そこまで詳細な違いはわからないと前置きしつつ、地域貢献という観点で言えばどちらも「地域」に根差した金融機関である点は共通していると語る。違いが出るとすれば相手企業のサイズだと指摘し、信用金庫は取引先の売上が100億円を超えると付き合いがなくなっていく傾向があると説明する。一方で地方銀行は、例えば日本電産のような大企業とも普通に取引を続けているはずだとし、扱う相手企業の規模の違いが両者の役割の違いになっていると答える。
Q. 「日本のプレゼンス向上」を軸に三井不動産と日立製作所で迷っています。
A. Utsuさんは、三井不動産は「日本のプレゼンス向上」とは関係がないと指摘する。カルティエのビルを建てた程度で三井不動産がすごいと言われているわけではないと述べる。
Q. docomoと東京建物で迷っています。人々の交流機会を作り、コミュニティの活性化を促したいです。
A. Utsuさんは、東京建物に入ると「そういうこと」つまり人々の交流機会を作りコミュニティを活性化するという目的からは離れてしまうと指摘し、その目的を実現できる可能性はドコモの方が高いと語る。
Q. 医療従事者の役により立てるのは、日本光電工業・ジョンソン&ジョンソン・キヤノンメディカルのどれでしょうか?
A. Utsuさんは、日本光電については志望動機が「除災」寄りになりがちだと指摘する。キヤノンメディカルについては、製品を買ってもらって終わりという印象が強く、一つ一つの製品が大きい分、売って終わりにはなっていない感じはあるものの、役に立っている感のある新製品が出てくるようなイメージは湧きにくいと語る。総合的には、なんやかんやでジョンソン&ジョンソンではないかとUtsuさんは答える。
壮大な目的を語る前に、その会社で実際にできることとの整合性をまず問い直すべきだとUtsuさんは語る。